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鶴岡・銀座通りで出会った初めての「スペシャリティコーヒー」専門店。感じたことのない、知らなかったコーヒーが持つ魅力について
April 13, 2025
場所は、鶴岡・銀座通り。
通りを歩いていると、大きな「COFFEE」の文字が目に飛び込んでくる。
そこにあるのが、コーヒー専門店「パラディーゾコーヒーロースターズ」だ。
扉を開けると、店内は焙煎された豆の香ばしい香りで満ちていて、奥に長く、すっきりとした空間。
壁際の棚には、世界中の豆がずらりと並んでいる。
豆の名前や生産地、味の特徴がひとつひとつ丁寧に書かれていて、眺めているだけでも楽しい。
悩んでいると、「初めてなら、ケニア・シンバがおすすめです」と店主の後藤さんが教えてくれた。
ドリッパーにフィルターをセットして、ポットから細くゆっくりとお湯を注ぐ。
フィルターの中で豆がふくらんで、香りが立ち始める。
後藤さんの流れるような所作を眺めながら待つこと5分。
「どうぞ」と手渡されたカップ。受け取った瞬間、甘酸っぱい香りが顔を包む。
わくわくするような気持ちの高まりを感じつつ、ひと口飲んだ瞬間、これまでのコーヒーのイメージが一気に覆された。
さわやかな酸味、澄んだ後味。
しっかりとした味わいの中に、軽やかな飲み心地が共存している。
「今まで飲んでいたコーヒーとはまるで別物だ!」と驚いた。
私が飲んだコーヒーは、”スペシャルティコーヒー”と呼ばれるものらしい。
スペシャルティコーヒーとは、 “その豆がどこで、誰によって、どんな環境で育てられたのか”というトレーサビリティ(生産履歴)が明確で、 農園から一杯のカップに至るまで、すべての工程において高い品質基準をクリアしているもののこと。
つまり、「おいしい理由がはっきりしているコーヒー」と言ってもいいかもしれない。
「スペシャリティコーヒーは、“クリーン”って言葉がよく使われるんですよ」と店主の後藤さん。
クリーンというのは、「雑味がなく、豆の個性がまっすぐに伝わってくる味わい」のこと。
たとえば「ナッツ系」と言っても、アーモンドなのか、くるみなのか、カシューナッツなのか――そのくらい繊細に違いを感じ取れるという。
わたしの飲んだケニア・シンバはまさにそんな味だった。
現地の言葉でライオンを意味する「シンバ」という名前の通り、ライオンのような力強さを目指して作られた豆で、カシスのような香味といわれているらしい。
コーヒーという飲み物に対する感覚が変わり、俄然興味が湧いてきた。
その後、シトロンケーキと一緒に、 中国・雲南省プーアルのコーヒーを一杯。
日本で「プーアル」と聞けばお茶が有名なイメージだが、中国最大のコーヒー産地でもあるとのこと。
ひと口飲んだ瞬間、ふわっと桃のような香りが広がった。
ハーブティーを飲んだときのようなフレッシュ感がありながら、鼻から抜けるのは香ばしい焙煎されたコーヒー豆のニュアンス。
こんなに香りが個性的で、飲みやすいコーヒーがあるなんて。
ケーキとの相性もぴったりで、気づけば一杯のコーヒーを通して、 鶴岡と中国を行ったり来たりしている自分がいた。
聞けば、このお店は後藤さんが「人生を変えた一杯」に出会って開いたものだという。
このコーヒーを味わう前だったら、ちょっと信じがたいが...
スペシャルティというコーヒーを知った今では、その一杯が人生を変えてしまうことも理解できる気がする。
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