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庄内町にある「庄内発酵堂」は、麹をいかした多彩な料理が味わえます。 発酵の持つ魅力と、そもそもどうして庄内町でお店を開いたのか、お話を聞いてきました。
January 22, 2026
余目駅から3分ほど歩くと、大きく「酵」の文字が書かれた看板が目に飛び込んできます。ここ「庄内発酵堂」はその名の通り「発酵」をコンセプトにした、美味しくて体にやさしい料理が味わえるお店です。

折しも年末年始。忘年会や新年会で大いに飲み食いしたのと、日頃の不摂生もたたって「体とお腹がちょっと疲れた状態」なモッシェド編集部。
体を健やかに整えて、年明けから良いスタートを切るためにも「発酵」の力を取り入れてみることにしました。
発酵食品と聞くと体に良いけれど、「ヘルシー=薄味でボリューム少なめ」なのでは…と思っていましたが、食べごたえがありそうなからあげのセットやカレーもあり、良い意味でイメージを裏切られます。


ランチセットはスープとデザートに加えて、庄内産の生糀100%を使用した甘酒付き。この甘酒、もちろんアルコールは入っていませんが「食前酒」としていただきます。

お米本来のまろやかで自然な甘みがスッと広がります。甘酒も立派な発酵食品のひとつ。「飲む点滴」と言われるほど栄養満点で疲労回復効果もあり、体に優しい一杯です。まさに「発酵堂」の名に違わぬさすがの仕上がりに、料理への期待も高まります。
まるでスイカのような鮮やかな赤色でシャキシャキ食感の麹漬けダイコン、粒マスタードがアクセントの風味豊かなニンジンのラペなど、どのお惣菜も素材を生かしつつ、さらにひと手間加えられた深みのある味わい。

ごはんは白米のほかに、玄米を発酵させて旨味と栄養価を増した酵素玄米が選べます。数日間かけてじっくり仕上げることから「寝かせ玄米」とも呼ばれ、腸内環境を整える食物繊維やむくみ改善を促すカリウムを豊富に含んだ「体が喜ぶ食材」です。小豆の香ばしさとほのかな甘み、そしてプチプチと弾力のある歯ごたえが楽しめます。お惣菜との相性も抜群で、一口食べるごとに美味しさが体にしみ込んでいくよう。

そして、からあげはおどろくほど柔らかくてジュ―シー!塩麹にじっくり漬けておくことでたんぱく質が分解され、柔らかな食感に仕上がるのだとか。消化吸収もしやすくなるので、揚げ物なのに胃もたれしにくいのも嬉しいポイント。普通のからあげとは一味違う、まさに「発酵からあげ」ならではの旨味と優しさです。

正月明けには無性にカレーが食べたくなるもの…そんないきおいで注文した庄内発酵カレー。マイルドな味わいなのかなと思って口に運ぶと、予想に反してしっかりとした辛みが…!と思ったら、スッと引いて香ばしい余韻が残ります。辛口のカレーを食べていると途中で水が飲みたくなるものですが、この庄内発酵カレーはスパイシーでありながらも口の中に辛さが残らない絶妙なバランス。これはクセになりそう!
また、甘酒を少しカレーに入れると辛味が抑えられて味に丸みが生まれ、「ちょっと辛いかな」という人もぐっと食べやすくなるそうです。

発酵とカレー、この意外な組み合わせのヒミツは「麹」にありました。野菜やスパイスに麹を加えて発酵させた「自家製カレー糀」を使用することでまろやかさが生まれ、しっかりとした辛さながらも優しい後味に。

ルーも自家製でグルテンフリーのカレーなので小麦アレルギーの方も美味しく食べられ、油も控えめなので健康や美容を意識している方にも人気の一品。カレーに含まれるスパイスには消化を促す効果もあり、腸内環境を改善してくれる麹の働きとも相まって、疲れた体を内側から元気にしてくれます。
美味しくてヘルシー、そして食べると元気がわいてくる。「庄内発酵カレー」はもしかしたら理想のカレーなのかもしれません…!

ランチセットのドリンクは通常はホットコーヒーか紅茶なのですが、+220円で「発酵ドリンク」に変更することもできます。
発酵ドリンクとは一体どんなものなのか…?気になったのでさっそく注文してみました。

まずは1杯目。この「レモン糀の塩レモンスカッシュ」は透明感のある爽やかさとともに、塩味によって引き立てられたほのかな甘みも感じられます。元気なときはもちろん、ちょっと体が疲れているときでも優しく染みわたるような甘酸っぱくて、ちょっと懐かしさのある味わい。気持ちがほっと落ち着くとともに、レモンに含まれるクエン酸には食後の血糖値の上昇を抑えてくれる効果もあります

対して、「庄内柿酢サワー」は甘さゼロ。キリッとした酸味が「喝」を与えるように、体を内側から目覚めさせてくれます。庄内柿を100%使用して2年間熟成させた無添加の柿酢はGABAやポリフェノールなど体にうれしい栄養素を豊富に含んでいます。酸味がありながらもクセがなく、体と心をリフレッシュさせてくれる一杯。
柿酢には肝臓の働きを助けてくれるオルニチンも含まれているので、よくお酒を飲む人にもおすすめなのだとか。

デザートプレートのチョコケーキにはリンゴ麹が添えられ、最後までとことん「発酵」づくし。満足度の高い食体験ができました。
そして、いっぱい食べたはずなのに食べ疲れというか、食後の気だるさが一切ありません。これも「発酵」の持つ力なのでしょうか…?
発酵食品を食べると確かに調子が良くなる感じがする、でもそれはなぜなのか?
お腹もいっぱいになり、俄然興味がわいてきた編集部。発酵のお店を始めたきっかけと、発酵の持つ力についてお話を聞くことにしました。
おたずねしたのは店主の三木さん。
もともとは関西でインテリアや雑貨、料理などの演出を手掛けるスタイリストをされていました。ご主人の仕事の都合で庄内にやってきて、もう10年ほどになると言います。

庄内に移住後も経験をいかし、ふるさと納税の返礼品撮影のフードコーディネートや食品会社のアドバイザーとして活躍。お仕事をしていくなか、庄内柿を醸造させて作った「柿酢」に出会ったことをきっかけに、庄内地域と発酵との強い結びつきを感じたそうです。

「庄内といえば米どころで、水が良いのでお酒も美味しい。お酒づくりが盛んなので酒粕や麹も身近にあります。そして老舗のお醤油屋さんもありますし、ここは『発酵のまち』なのではないかって思ったんです」
古くから庄内地域に根付いている発酵の文化。三木さんは移住してきたからこそ、新鮮に感じられたのかもしれません。そんな経緯があり、地域の皆さんにあらためて発酵の奥深さを知って欲しい、その魅力を広めていきたいという思いから「庄内発酵堂」を始められたのだそうです。
庄内発酵堂が手がける料理において、一番の特徴は「麹」へのこだわり。
麹とは蒸したお米などに麹菌を加えることによってつくられ、「米麹」や「麦麹」、「大豆麹」などさまざまな種類があります。
これらの麹が発酵食品のもととなり、料理に用いることで食材の旨味を引き出したり、お肉などの食材を柔らかく仕上げたりすることができるのだそうです。

そして、発酵食品が体に良いといわれるのはこの麹に含まれる酵素にあります。
もともと、人の体には食べ物の吸収を助ける「消化酵素」と新陳代謝や血行を促す「代謝酵素」という2つの体内酵素があり、これらが不足すると疲労や代謝の低下につながります。「発酵食品が体に良い」というのは、麹による酵素の働きによってあらかじめ食べ物が吸収されやすい状態になっていることがポイント。体内酵素を無駄に消費せず、有効に活用できる状態に保つことができます。

「例えば、からあげを作るときはあらかじめ鶏肉を塩麹にじっくり漬けておくことで、酵素によってタンパク質が分解され、しっとり柔らかい食感になります。美味しいだけではなくて、体にすっと入るような仕上がりになるんです」

また、発酵食品には乳酸菌をはじめとした善玉菌も多く含まれていて、腸内環境を整えて免疫力を高めてくれる効果も期待できるのだとか。発酵によって食材がぐっと美味しく、健康的になります。
そして、ランチセットについてくる「甘酒ショット」にもこだわりが。すっきりとした甘さながら、まるで日本酒のような旨味を感じる濃厚な味わいが感じられました。

「もちろんアルコールは入ってないですし、砂糖も不使用です。特別栽培米から仕上げた米麹100%で作りました。一般的に売られている甘酒は苦手という方でも、美味しいといって飲んでくれますね」

甘酒は保存期間を延ばすために火入れ(加熱処理)されたものも多いのですが、庄内発酵堂の甘酒は火入れをしない“生の甘酒”。そのため、加熱すると失われてしまう酵素がしっかりと保たれ、味わいもお米の美味しさがそのまま感じられるようなフレッシュな仕上がりになるのだとか。
「甘酒なら飲むことでダイレクトに酵素が摂れますので、発酵食品を手軽に取り入れたいという人におすすめですね」

最近では甘酒を使ったデザートにも力を入れているそうで、なかでもイチ推しは「甘酒のセミフレッド」
香ばしいキャラメルソースが甘酒の優しい風味にマッチし、コクがありながらもしつこくない、まろやかな口当たりがクセになります。
そして、お土産としても人気なのが、添加物は使わずに庄内産の米麹でつくられたお店オリジナルの「発酵旨味調味料」
定番の「醬油麴」や「塩麹」のほか、「ニンニク麹」や「マッシュルーム麹」など初めて見る珍しい麹も。

それぞれの麹調味料について、おすすめの使い方を教えていただきました。

三木さんご自身が「こんな調味料が欲しい」と考えて生まれた一品。どの麹調味料も幅広い食材に使え、料理の味わいを整えてくれます。
「忙しいけれど健康には気を配りたい、食べ物や料理にはこだわりたいという人が、食卓で手軽に使える調味料があったらいいなと思って作りました。発酵食品の魅力をいろんな形で、身近に取り入れてもらいたいですね」
三木さんのお話を聞いていると、発酵の持つ可能性やその奥深さに気づかされます。
あらためて「発酵の魅力や面白さってどんなところにありますか」と質問してみました。

「目に見えない微生物の力を借りるところですね。麹菌はアスペルギルス・オリゼーというカビの一種なのですが、その働きによって食材の栄養素が増えたり、美味しくなったりする。思い通りにいかないこともありますが、その予測不可能なところも含めて神秘的で魅力を感じます」

美味しさと健康の両立、化学的に発酵の効果が解き明かされるずっと前から、庄内地域には発酵文化が身近にありました。
食べ物をさらに美味しくし、栄養素を増やしてくれる発酵は「食材に新しい価値を与える技術」と語ってくれた三木さん。
庄内発酵堂の体に良くて美味しい料理を通じて、「発酵の魅力」ぜひ体感してみてください。
庄内発酵堂
庄内町余目沢田140-4





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