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庄内町にある「庄内発酵堂」は、麹をいかした多彩な料理が味わえます。 発酵の持つ魅力と、そもそもどうして庄内町でお店を開いたのか、お話を聞いてきました。
December 4, 2025
余目駅から3分ほど歩くと、大きな「酵」の文字が書かれたお店を発見!
ここ「庄内発酵堂」は2024年10月にオープンし、その名の通り「発酵」をコンセプトにした多彩な料理が味わえます。
発酵と聞くとなんとなく体に良さそうなイメージがありますが、具体的にどんな特徴やメリットがあるのでしょうか? 早速、お話を聞いてきました。

おたずねしたのは店主の三木さん。
もともとは関西でインテリアや雑貨、料理などの演出を手掛けるスタイリストをされていました。ご主人の仕事の都合で庄内にやってきて、もう10年ほどになると言います。
庄内に移住後も経験をいかし、ふるさと納税の返礼品撮影のフードコーディネートや食品会社のアドバイザーとして活躍。お仕事をしていくなか、庄内柿を醸造させて作った「柿酢」に出会ったことをきっかけに、庄内地域と発酵との強い結びつきを感じたそうです。


「庄内といえば米どころで、水が良いのでお酒も美味しい。お酒づくりが盛んなので酒粕や麹も身近にあります。そして老舗のお醤油屋さんもありますし、ここは『発酵のまち』なのではないかって思ったんです」
古くから庄内地域に根付いている発酵の文化、しかし、ずっと身近にあるからそこにいる人たちにとっては「当たり前にあるもの」になっていました。三木さんは移住してきたからこそ、新鮮に感じられたのかもしれません。そんな経緯があり、地域の皆さんにあらためて発酵の奥深さを知って欲しい、その魅力を広めていきたいという思いから「庄内発酵堂」を始められたのだそうです。
庄内発酵堂が手がける料理において、一番の特徴は「麹」へのこだわり。
麹とは蒸したお米などに麹菌を加えることによってつくられ、「米麹」や「麦麹」、「大豆麹」などさまざまな種類があります。
これらの麹が発酵食品のもととなり、料理に用いることで食材の旨味を引き出したり、お肉などの食材を柔らかく仕上げたりすることができるのだそうです。

そして、発酵食品が体に良いといわれるのはこの麹に含まれる酵素にあります。
もともと、人の体には食べ物の吸収を助ける「消化酵素」と新陳代謝や血行を促す「代謝酵素」という2つの体内酵素があり、これらが不足すると疲労や代謝の低下につながります。「発酵食品が体に良い」というのは、麹による酵素の働きによってあらかじめ食べ物が吸収されやすい状態になっていることがポイント。体内酵素を無駄に消費せず有効に活用できる状態に保つことができるというわけなのです。
「例えば、からあげを作るときはあらかじめ鶏肉を塩麹にじっくり漬けておくことで、酵素によってタンパク質が分解され、しっとり柔らかい食感になります。美味しいだけではなくて、体にすっと入るような仕上がりになるんです」
また、発酵食品には乳酸菌をはじめとした善玉菌も多く含まれていて、腸内環境を整えて免疫力を高めてくれる効果も期待できるのだとか。発酵によって食材がぐっと美味しく、健康的になります。

麹をいかしたさまざまな料理のなかでも、特に人気なのが「庄内発酵カレー」
麹に野菜やスパイスなどを加えて発酵させた「自家製カレー糀」を使用し、挽肉もたっぷりでしっかりとした辛さながら優しい後味に。ビタミンBや食物繊維が豊富な発酵玄米を使用したグルテンフリーのカレーなので、健康や美容を意識している人にも人気の一皿です。
そして、ランチセットにもついてくる「甘酒ショット」にも注目です。
一口飲むと、すっきりとした甘さながら、まるで日本酒のような旨味を感じる濃厚な味わいが口の中に広がります。思わず、「これアルコール入ってないですよね…?」とたずねてしまいました。

「もちろんアルコールは入ってないですし、砂糖も不使用です。特別栽培米から仕上げた米麹100%で作りました。一般的に売られている甘酒は苦手という方でも、美味しいといって飲んでくれますね」
甘酒は保存期間を延ばすために火入れ(加熱処理)されたものも多いのですが、庄内発酵堂の甘酒は火入れをしない“生の甘酒”。そのため、加熱すると失われてしまう酵素がしっかりと保たれ、味わいもお米の美味しさがそのまま感じられるようなフレッシュな仕上がりになるのだとか。
「甘酒なら飲むことでダイレクトに酵素が摂れますので、発酵食品を手軽に取り入れたいという人におすすめですね」

最近では甘酒を使ったデザートにも力を入れているそうで、なかでもイチ推しは「甘酒のセミフレッド」
香ばしいキャラメルソースが甘酒の優しい風味にマッチし、コクがありながらもしつこくない、まろやかな口当たりがクセになります。
そして、お土産としても人気なのがお店オリジナルの「発酵旨味調味料」
添加物は使わずに庄内産の米こうじでじっくりと発酵させてつくられた、いわば自然の力が生み出した調味料です。
定番の「醬油麴」や「塩麹」のほか、「ニンニク麹」や「マッシュルーム麹」など初めて見る珍しい麹も。

それぞれの麹調味料について、おすすめの使い方を教えていただきました。

三木さんご自身が「こんな調味料が欲しい」と考えて生まれた一品。どの麹調味料も幅広い食材に使え、料理の味わいを整えてくれます。
「忙しいけれど健康には気を配りたい、食べ物や料理にはこだわりたいという人が、食卓で手軽に使える調味料があったらいいなと思って作りました。発酵食品の魅力をいろんな形で、身近に取り入れてもらいたいですね」
三木さんのお話を聞いていると、発酵の持つ可能性やその奥深さに気づかされます。
あらためて「発酵の魅力や面白さってどんなところにありますか」と質問してみました。

「麹の魅力になるんですけど、目に見えない微生物の力を借りるところですね。麹菌はアスペルギルス・オリゼーというカビの一種なのですが、その働きによって食材の栄養素が増えたり、美味しくなったりする。思い通りにいかないこともありますが、その予測不可能なところも含めて神秘的で魅力を感じます」
またお店だけでなく、ときどき「醸す会」というイベントも開催されています。
前回は黒麹を体温で温めながら発酵の様子を参加者と一緒に体験されたそうで、今後も麹づくりをはじめ、発酵の面白さを体感できるような催しを行っていきたいと話してくれました。

美味しさと健康の両立、化学的に発酵の効果が解き明かされるずっと前から、庄内地域には発酵文化が身近にありました。
食べ物をさらに美味しくし、栄養素を増やしてくれる発酵は「食材に新しい価値を与える技術」と語ってくれた三木さん。
庄内発酵堂の体に良くて美味しい料理を通じて、「発酵の魅力」ぜひ体感してみてください。





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