MOTCHED!HUNTER!
ああ...それにしても金が欲しいっ...!!我ら編集部は解決の目処を得ない喫緊の課題を抱えていた。それは金欠ーー我々はこの夏もっともわかりやすい形で「金」を得ようとした。
October 8, 2025
飲食店をメインに取材を行い、記事を作る...楽しいし、美味しい、皆さんに素敵なお店を紹介できることは誇らしい。
だんだん協力してくださるお店も増えてきて、モッシェドも盛り上がってきたこの夏。
最近始めた「週末ここ行こっ!」もありがたいことに好評の声をいただいている。
そうーーー。
下品な話、金が無いのだ。当然、飲み食いをすればお金はかかるし、最近公開したWEBサイトだってランニングコストはかかってくる。
誰も考えない、いや考えないようにしていた、というのが正しいだろう...そんな折、編集部チャットへ何気ない一言が投下された。
反応しないふりをしていたが、考えないようにしていたが....。
ーーそれは資本の原点、管理通貨制度に縛られない真実の財産。
その圧倒的な魔力に、抗えず心を奪われていくのを感じた。ーーー
気づけば“庄内 砂金”でGoogleの検索履歴は埋まっていった。
YouTube動画、体験ブログ、地方紙の昔の記事……。
どれも目を凝らすと、たしかに皿の上に小さな金色の粒が見えている。
ーー庄内の川底には“資産”が眠ってた。
貧すれば鈍するを地で行っている我々が、その後すぐ砂金採り企画を実施するに至ったことは言うまでもない。
道具が必要だということは、すぐにわかった。
“パンニング皿”という砂金採取専用のガジェットをご存知だろうか。
黒く、浅く、底にリブと呼ばれる段差がついている。
砂をすくい、水中で前後左右に振る(パンニング)すると、水勢で軽いものが流れ、重いもの...つまり─金─だけが底に残るってわけ。
これが砂金採りにはマストのアイテム、技術となる。
早速購入しようとAmazonで検索してみると
なんと2セットで6,000円....
6,000円....?いや考えない、だって金を取ればすぐに元なんてとれるんだから。
レビューも悪くない。しかもPrime対応。即購入。
.....6,000円...?
さぁ、待ってろ、砂金。
どうせやるなら「砂金採り体験!」的な用意されたフィールドではなく、ガチで野生の「砂金」を狙いたいところ。
そこで以前砂金採りイベントを開催していたという施設の方に採取しても問題ないという場所を教えてもらった。
車を降りると、川の水音だけが遠くから聞こえてくる。
木陰を抜け、石段を降り、川辺に立ったとき、全員が自然と黙った。
「行くところまで行った」感というか「もう引き返せない」感から、だろうか。
漫然と砂金を探していても張りがないのでチームに分けて勝負をすることにした。
2人×2チーム。制限時間は3時間。
勝敗の基準は「どれだけ金を持ち帰ったか」、これが、庄内ゴールドラッシュのルール。
あと、重要なことがある。
このルールで、砂金採り血戦は幕を開けた。
パンニング皿に川底の砂をすくい入れる。
しゃがんで、水中で左右に振る。
リブ(皿の段差)が、軽いものを流し、重いものを残す仕組み。
つまり、“皿の底に残ったもの=金”。
川の水はひんやりしていて気持ちがいい!
夏休み感があって少し楽しい、悪くないなと談笑しながらパンニングを繰り返す
ーーーースタートから60分経過。誰も喋らなくなった
振る。沈める。捨てる。
振る。沈める。のぞく。
振る。沈める。捨てる。
振る。沈める。のぞく。
振る。沈める。捨てる。
振る。沈める。のぞく。
結果、出るのは
・茶色い砂
・よく見たらガラス片
・それっぽく見える葉っぱの切れ端
しびれてきた。膝も、感覚も。
それでもやめる気はなかった。
「あと10回振れば、出る気がする」
「もう金はそこまで来ている」
「信じる気持ちが、皿に伝わる」
このあたりから、理屈と精神論の境界があやしくなってくる。
誰かが「もう一回下流に移動しない?」と言いかけたが、
「いや、この流れはまだ信じられる」と返された。
水ではなく、気配で判断し始める人たち、科学的根拠はない。
ただ、金のことを考えている時間だけが、ずっと続いていた。
暑さも、疲れも、腰の限界も、何もかもが「ここじゃない」と感じ、やはりポイントを下流へ変更。
新しいポイントは川がやや蛇行しており、水流が巻くように石を抱いている。
日が差して、水面が強く光っている。
再び皿を砂に沈め、すくい上げる。もう何度目かもわからないパンニング。水中で、リズムよく揺らす。
そのときだった。
「あれ……。なんか、残ってる」
ひとりが皿をじっと見つめたまま、動かなくなった。
その声に、全員が手を止めた。
「なにかいた?」
「いや……まだわからない。でも、見てほしい」
覗き込む。皿の縁、リブのすぐ上。そこに、小さく、じっと、光る粒がキラキラと。
先程までの光ってるぽい石とはぜんぜん違う!
明らかに輝きが違う!これが金...
スポイトで小瓶に移し、太陽に透かしてみるとキラキラと光っている。
諦めなくてよかった!なんてきれいなんだ、なんてうつくしいんだ!
金が価値の代名詞になる理由も、分かるような気がした。
....ふと背後に気配を感じて振り返ると、絶望に満ちた顔で佇む敵チームのメンバーが。
そう言い残しフラフラとどこかへ歩いていった。
メンバーの快挙を共に喜ぶ余裕はなく、ただただ敗北感に満ちたその様子に、資本という概念そのものの本質を見たような気がしたが、気にしないことにした。
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紆余曲折あったものの、無事砂金採り勝負も終わりを迎えた。
とりあえず、一同は予約してた居酒屋へ移動することに。
一方は敗北の辛酸を、一方は勝利の愉悦を!
悲喜交交な食事会となったが、体を動かしたあとのお酒とご飯は何物にも代えがたい!
結局、外に出てはしゃいで次の取材への英気を養うのが目的だったのかもしれない。
小さな砂粒一つを追い求め、大人がここまで本気になれるなんて、楽しいじゃないですか!
みなさんもぜひ、太陽の足元でたまには馬鹿になってみませんか?
出費ーーーーー
■ 移動ガソリン代:¥3,000
■ 飲み物/昼食代:¥3,500
■ 熊よけの笛:¥2,000
■ パンニング皿:¥6,000
■ 夕食代:¥13,000(敗チーム持)
=出費総計¥27,500
収入ーーーーー
■ 砂金(0.005g):ほぼ¥0
財政難はまだまだ続きます。
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なぜ採れる?=地質と自然が生んだ恵みです。
庄内で砂金が採れた理由は、地質にあります。
立谷沢川の流域は、かつての火山活動や日本海側の地形変化によって、金を含む鉱物が川へ流れ込みやすい環境が整っていました。
川砂の中に小さな金の粒が混ざり、それを人々が見つけ出す──自然の営みと暮らしが直結していたのです。
今に残る痕跡と価値
江戸時代に「瀬場」という庄内藩直轄の砂金掘り場がありました。
「瀬場」という地名は、当時の砂金採りの名残。古文書や伝承には、砂金を掘って生計を立てた人々の姿が残されています。
いまでは産業としての採掘はなくなりましたが、砂金体験や資料展示を通じて歴史を伝える場として息づいています。
今更どの口が言っているのか...と思うかもしれませんが、実際に体験してみるとただの遊びではなく、時を超えた営みに触れているような感覚を味わえました。
「自然」と「人」の境界線が今よりずっと曖昧だった時代に想いを馳せて...今度はもっと純粋な気持ちで「砂金」とってみようかな、なんて。
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